不動産売却時の税金

生前に不動産を売却しておく場合や、相続された不動産を売却する場合、どのくらいの税金がかかるのでしょうか?

ここでは「居住用」不動産の売却について考えます。個人が土地や建物を売却して利益(譲渡益)が出た場合は、その利益に対して、所得税と住民税がかかります。

この課税対象となる利益のことを「譲渡所得」と言います。

①所有期間によって税率が変わってきますので、まずは「所有期間」を確認します。

不動産を譲渡(売却)した年の1月1日において、所有期間が5年を超える場合を「長期譲渡所得」、5年以下の場合を「短期譲渡所得」と言います。

期間の計算方法が重要です。不動産を譲渡(売却)した年の1月1日で計算します。

取得したのが令和2年4月1日とします。

売却したのが令和7年4月2日とします。日付だけで見ますと、5年経過しています。

しかし、売却した年の1月1日で計算しますので、令和2年4月1日~令和7年1月1日で、5年経過していません。ここ注意です!

■税率

税率が倍近く変わってきますので、期間には注意が必要です。

長期譲渡所得の税率=所得税20%+住民税5%+復興特別所得税2.1%

短期譲渡所得の税率=所得税30%+住民税9%+復興特別所得税2.1%

※復興特別所得税は所得税に対する税率です。

相続や贈与により取得したものは、原則として、被相続人や贈与者の取得した日から計算することになっていますので、相続直後だから短期?とは考えず、被相続人が取得した日を確認しましょう。

不動産売買の実務では「実際に契約した日」と「引渡しを受ける日」にちは通常異なります。

このため、「取得日」は「契約日」もしくは「引渡日」、「譲渡日」は、「契約日」もしくは「引渡日」から選択出来るようですから、有利になるような日にちにされたら良いと思います。

②次に「取得費」を確認します。

まず、購入時の売買契約書を探してください。そんなものないよ!という方が多いと思いますが、当時の売買契約書をお探しください。

土地は購入した金額を計上する事が出来ます。建物は購入代金がそのまま取得費になるわけではなく、所有期間中の減価償却相当額を引いてから取得費を計算します。

先祖代々の土地であるとか、購入時期が昔すぎてわからない時は、売買契約した時期は覚えているが契約書がなくて取得金額がわからない時は、売却時の譲渡価額の5%となります。

ですから、売買契約書が手元に残っていることは重要です。

③それでは課税譲渡所得金額を計算していきます。

譲渡価額(売れた金額)―取得費―譲渡費用(仲介手数料や印紙代)―特別控除

です。

■特別控除とは

主な特例として

・居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除

・所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した時の軽減税率の特例

・特定の居住用財産の買換え特例

などがあります。

■実際に計算してみる

所有期間5年を超える居住用不動産(土地・建物)を6,000万円で売却したとします。

取得費は2,000万円、譲渡費用は200万円とします。

そうしますと6,000万円―2,000万円-200万円=3,800万円が長期譲渡所得金額となります。

特別控除がなかったとしますと、

所得税が3,800万円×15%=570万円

復興特別所得税が570万円×2.1%=119,700円

住民税が570万円×5%=285,000円 となり、合計で6,104,700円となります。

そこで特別控除を控除します。3,000万円の特別控除が使えますと

3,800万円-3,000万円=800万円が長期譲渡所得金額となりますので、各税金も下がります。

■特別控除について

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」という言葉を聞いたことはありませんでしょうか?不動産屋も「3,000万円の特別控除」という話を良く出します。

次のいずれかを満たすという条件があります。

①現に自分が住んでいる家屋

②前に住んでいた家屋(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合)

③家屋を解体した場合で、その敷地の譲渡契約が家屋を壊した日から1年以内に締結され、かつ済まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る事、かつ、家屋を壊してから譲渡契約を締結した日までその土地を貸駐車場などの用途につかわないこと

他にも条件はありますが、主にこの3つを確認する事になるでしょう。

被相続人、例えば親が居住する住宅で、相続人が同居していない場合、使えませんね。

■相続によって取得した居住用の空き家を譲渡した場合の特別控除の特例

当サイトは相続に関する内容ですので、「相続」によって取得した古い空き家の売却について、一定の条件のもと、居住用財産の3,000万円の特別控除について説明します。

対象となる空き家は昭和56年5月31日以前に建築された住宅で、売却の際には、耐震リフォームをするなどして新耐震基準を満たした上で、譲渡する必要があります。

耐震リフォームをせずに建物を解体して、更地で売却する場合も適用を受ける事が出来ます。

要件は他にもありますが、「耐震リフォーム」か「解体更地」かですが、売却前に手出しが発生するから、現実的にはこれ難しいですね。

結局、住宅のスクラップ&ビルド・市場の活性化に協力するなら特例使えるけど、協力出来ないなら特例使えないという国の政策が見て取れます。

■相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

相続または遺贈により取得した不動産、株式などの財産を、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができます。

相続税を支払うために、売却した場合が該当します。

・相続や遺贈により財産を取得した者であること。

・その財産を取得した人に相続税が課税されていること。

・その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

■不動産売却後にくる「お尋ねハガキ」について

時期はまちまちですが、売却後、半年から1年位の間に、税務署から譲渡所得の申告についてのお尋ねハガキが届きます。びっくりしますよね。

譲渡益が発生していなければ、確定申告の必要はありませんが、はがきは返信してください。

では、なぜ、こんなハガキが届くのか?

「不動産屋が税務署に報告したから」ではありません!(そんなことはしません!)

所有権移転登記をしたからです。

売却をしますと所有権が購入者に移りますので、売却したことが登記されます。

法務局から税務署の方に情報が行くのです。

所有権移転の際、売主が異なる住所地に居住している場合(登記簿の住所が以前の住所になっていることは良くあります)、新所有者の所有権移転前に、旧所有者の住所変更登記を行います。これで旧所有者の住所も現在地になってしまいます。

所有権が移った事は税務署で把握出来ますが、いくらで売れたかは知りませんので、このようなハガキがくるというわけです。想定内ということで、びっくりされないでください。